The way to Rice Paddy Administrator

サラリーマンが、週末活動で、無農薬、無肥料の田んぼを作る実験記録です。

塩水選(えんすいせん)

3月1日(日) 昨日に引き続き いすみへの電車とバスに揺られている。天気は小雨、今日はだんだん雨が強くなる。2日続いての日帰りだし、雨だし気持ちが萎えてきそう。外房線は結構混んでいて、ボックス席に座ると後3席は部活の女子高生。

「一度でいいから、今日デートだから行けないって言ってみたいなー」と一人が話すと

「何大声で言ってるのよ!恥ずかしい。友達じゃないふりするわよ」

向かいに据わっているもう一人が、「同じ部活の格好で、隣にすわっていてどう見ても友達だよ」など会話が続く。

思わず笑ってしまいそうになるが、ここで笑うと変な人になりそうで、ヘッドフォンで音楽を聞き会話を遮断する。

倉木麻衣のstep by stepを聞いて

Let’s take a step by step
あきらめないで ゆっくりでいい 歩いてこう・・・・・・
意味ないことなんて何ひとつない・・・・・
前だけを見て どんな時も 信じてyourself

 

9時に真一の家について、まだ雨はあまり強く無く、昨日の作業の確認をする。

きれいな更地一歩手前だ。

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こたつに入ってお茶を飲んで、一息つく。

実は今までブログに書かなかったが、修子さんは、来月子供が生まれる予定。妊娠の話はプライベートに踏み込み過ぎているかも知れないと思って書かなかったと話したら、「書いても良いよ」と言ってもらえたので、書きます。

現在の状況はそれを書いた方がわかると思います。今迄真一は、就農してから、修子さんと2人で農業をがんばって来たが、今は彼女がそれ所では無い。よって普段はどんな作業も一人っきりでやらなくてはならないみたいなのです。

だから今日は一人では、難しい事をやる。真一は、「昨日も今日もせっかく来て田んぼ以外の事をやらせるのは悪い」という気持ちらしいが、困っている時はお互い様で助けるのが日本人。そう思ってきたのにコタツに入ってお茶を飲んだら ついデンマークの教育の話をしてしまい、真一が考えている教育、合気道の世界なのかなを話して盛り上がり時間が過ぎていく。いつしか雨が強くなり二人ともこたつから出たくなくなってしまった。

昨日の肉体労働の疲れも残っていて、このままこたつで話していたいねなんて言われたら、かなりの心がぐらついてしまった。

 

ここで、昨日、真一に聞いた種まきまでの手順を整理しよう。

①だつぼー君での選別(大きい籾を選別する)エリート選別 が先週の作業

②塩水選 比重の大きい塩水につけて、それでも沈む米を選別。米の比重が大きい超エリートを選別する。(塩水は塩を入れるほど比重が重くなる。)

今回は2段階に分けて選別する。最初比重が1.16以上の米、次に比重が1.14以上の米(海水は、1.02~1.03なのでかなりの塩を溶かした塩水になる。

③温湯消毒(おんとうしょうどく) 殺菌を行う。60℃のお湯で7分間つける。

今日 これ用の設備を午後借りる予定。設備を借りない時は、お風呂などでやった事もあるそうです。

④浸種(しんしゅ)130~150日度(にちど)水に浸す。日度とは、例えば15度の水に10日間なら、150日度となる。

これにより発芽できる状態をそろえる。浸種をするとアブシジンサンが無くなり、何時でも芽がでていいよという状態になる。芽が出るのが、不揃いだと育ちがばらばらで田植えもしずらく、成長もバラバラだと、小さな稲は日陰になってしまう。これを防ぐ為、発芽をそろえる必要がある。

⑤催芽(さいが)暖かめの水(25℃程度)に1日つけて、一斉に芽を出させてしまう。

⑥種まき ビニールハウスの中で発芽した種を並べる。

 

種を買う農家や苗を買う農家ならこんな作業を知らない農家も沢山いるだろう。正式なブランド米の名前を使うなら、勝手に選別が出来なく、正式な種を買うしかない。

でも毎年、農協や種屋から買うのは、循環してない。サスティナブルで無い。この籾から種を選別していく作業がサスティナブルな米作りなのだ。但し通常のブランド米は名乗れません。鶴亀ブランドです。

種まきまでにはまだやる事がいっぱいある。

塩水選(えんすいせん)は、二人いる時にやった方がいい!

今日は①と②をやる日である。

重い腰を立たせて、作業着に着替えて外に出る。

まず雨が降っているので、耕運機を動かして、雨宿りの場所を確保。

今日やる予定を話す。午後 温湯消毒の機械を借りる事にしているので、午前に塩水選をやらなくてはならないという。しかし塩水選の用意は今からで、まだ足りないものを買いに行かなくてはならない。

用意する水を入れる入れ物を探しながら必要な水と塩の量を計算する。

比重1.16にするには、100mml中24.44gの塩が必要。10リットルだと2.444kgなどと換算しながら、何リットルの水を使うか考えながら塩を買う。

年に一回しかやらない事なのと去年より量が増えているので、思い出しながら、計算しながら入れ物、比重計、料理用測り、体重計、ザル、塩、水の量を測るペットボトルなどを用意する。

その後コメリに種米を入れる袋などを買いに行く。

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コメリって噂には聞いてたけど初めて!農業専門かと想像してたけど、小さなホームセンターみたい。

帰って来てから

午前中に一部だけ塩水選をやるか、超エリートの選別は諦めて、先週のエリート選別だけで、温湯消毒を行うか迷ってる。

考える考える。今の時間の余裕と種まき迄のタイムリミット、超エリートで種を作りたい自分の信念が戦っている。

第三者的に見ていた僕は、思わず

「今日の温湯消毒、延期できない?

ついでにやらせてもらうと聞いてたから、キャンセル費用が発生しないなら今日は、午後頑張って、必要分の塩水選やっちゃおうよ!」と声をかける。

それは考えつかなかった!と真一

早速、電話して直前で謝りながら用意が間に合わなく延期させて下さいと電話する。

既にお昼に近い、ならお昼を食べて午後、水路の挨拶に行ってから塩水選をひたすらやろう。

とまた買い物に行く。近所のスーパーランドに行くそうだ。

スーパーランド!何か楽しそう!

行ってみたら中規模のスーパーマーケットだった。

足りない塩と水路の挨拶用のお菓子と昼ご飯を買う。

僕は、米で出来たエールビールを見つけ、終わったら飲もうと買い割り勘の代わりとする。

まず水路の挨拶に行くが、留守である。日曜の昼間なので、無理も無いな。また夕方行きましょう。

昼ご飯を食べてこたつに入ったら出るのが辛い。13:30迄、休むと決めてホッとするが直ぐにその時間となる。

また勇気を振り絞り外に出る。

まず用意したもの

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容器に水を入れて、塩を入れながら、比重計で計っていく。

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一見昔のガラスの水銀温度計みたいに見えるが、比重計とは、比重によって沈み具合が変わる事によって、比重を計る道具だ。わかれば単純な道具。ボーメ比重の目盛りであり、1.16は約19.9ポーメ、1.14は17.5ポーメとなる。初めて聞く単位。学校で習ったっけ?

塩は凄い入れる。比重1.16は海水なんてもんでは無い。多分これが海なら、人間は沈まないのでは?

1.16のもう一つのチェック方法は、生卵!比重が高くなるとだんだん横になり、1.16になると真横を向くという。計りながらやったら本当だった。

1.15だとわずかに斜め、1.16で完全に真横になった。

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入れる前の米の重さを体重計で計る。一袋25kg、3袋塩水選を行う予定。

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これから60kgくらいは種を作りたい。濡れてからは乾燥重量が計れないので、種袋に乾燥した籾を入れて大体の体積を把握する。

一袋4kgの体積のイメージ

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一袋乾燥の4kgの籾を残してそれと比較しながら同体積が何袋できるかで今日の判断とする。実際は乾かしてみないと正確な重量はわからない。

では作業開始。

この水に米を入れる。

 

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、フライ返しでかき混ぜて水にならした後、とって付きのザルで表面に浮いている米を救って比重の軽いものをとる。

 

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最初は真一が選別を行うが、すぐに僕に交代して、真一が米を入れて、僕が水に慣らしてザルで救う。

*すみません。ここから写真がまったく取れてません。

格好は、金魚すくいのオヤジみたいだ。何度か繰り返すと底に沈んだ米が溜まる。

比重の重い米が多い。結構成績が良い。表面の米だけでなく、少しだけ沈んでいる米などもあり、どこまでとるかが微妙である。最後は真一の判断に任せたいので、沈んだ米を取る前には、必ず「かんとくぅ~チェックお願いします」と言って真一に気になる部分をとってもらう。

その後、真一がもう一つの容器の上で、大きなざるを抱えている所に、僕が米が沈んでいる塩水の容器を持って流し込む。

もちろん量が多いので、何度かに分けてである。こうして比重の高い米を分けていく。

それが終わったら、残った塩水を使いまた同じ作業。比重をチェックしたが、比重計もたまごも同じ状態であった。ひたすら繰り返していたが、不思議な作業だ。この金魚すくいみたいな作業が、将来のお米につながるとはとても思えない。てか、こんな作業をやっているなんて、誰も知らないのでは?このサスティナブルな作業を人に教えたいなどと話しながら作業していました。

これは一人だと辛いけど、二人ならいろいろ夢を語りながら出来て楽しいかな!

雨宿りはしているが、水の作業なので、冷たいかと思ったが、二人で3月1日にもなると暖かいねと話ながら作業していた。

16時頃、休憩をとろうと部屋に入ってお茶を飲む。ストーブの前に行くと急に手がとても冷たい事がわかり、寒かった事が体で感じ始める。ストーブの前、こたつから出れなくなる。

途中で終わらすわけには行かなく外に出るが、これは二人ともすごく勇気がいる作業であった。

作業を再開すると、結構体が動く、こたつから出るのが、一番大変な作業であった。二人とも何故作業を始めると体が軽いのだろうと不思議がっていた。

1.16の比重での作業が終わり、浮かんでしまった籾で今度は、比重を1.14に変えてもう一度選別作業。暗くなったので、電灯をつける。

水を足していき、塩分の濃度を下げて比重を軽くする。ほんの少し入れただけで、1.14になってしまった。

こんな少しの変化で沈む籾が増えるのだろうか?と考えるが、また沈む籾と浮く籾に分かれて、2/3は沈んでいく。成績が良い。

また作業を繰り返して19時 やった終わった。水に濡れていて乾燥重量が計れないので、体積で重量を推定するとほぼ今年に使う分をやり終えている。乾燥してから付け足すとしてお後少しでしょう。と真一の言葉。

2日続けて作業をやりきった感慨にふける。結局二人でやると効率が良い。

この冬の嵐のような雨の中で、作業をやりきった。ここの所いつも終わるのが、遅い。昨日たまには、早めに終わり、温泉でも入りたいねと話していたのに。

作業場所の片付けをして、着替えて、お茶をのみ休憩をとる。夕方行こうと思っていた水路の挨拶に行けなかった。真一が今週いってくれるか、忘れてたら来週また一緒に行こう。

明日はまた朝から会社。会社でも大きなプロジェクトがあり遅れるわけにはいかないのであまりゆっくりできない。

バスで帰るには大雨なので、茂原まで送ってもらう。外房線は雨で遅れている。やっと来た電車に乗り、家について夜中に今日の事を考える。

あっ 忘れ物をした。

冷蔵庫に米から作ったエールビール入れっぱなしで飲むのを忘れた!疲れていて思い出せなかった。

真一に「飲んで!」とメールして今日はおやすみなさい。